誰かの人生。

その人は屋久島の出身だった。

詳しい経歴は知らない。

兄妹はいるが徐々に疎遠になっていった。

 

同世代の男性と結婚し、子供はおらず二人で長く一緒に暮らした。

 

夫は定年退職後は駅前のホテルで清掃をしていた。

夫は10年ほど前に他界し、その後は一人暮らしだった。

 

家は築40年の居酒屋の2階にある風呂なしの部屋。

暮らしは慎ましく、たまの銭湯と妹との電話が楽しみだった。

 

妹とは仲が良く、大阪から妹が遊びに来たり、お互いに食べ物を送りあっていた。